高校生の頃にDVDを集めた時、地元の駅中のモールでバッドボーイズのDVDが1と2のセットで3000円とかで売ってて、それを買った。
見易くてアドレナリンの出るアクションコメディで、1を観た後に続けてぶっ通しで2まで観切った気がする。それぐらい面白くて見易かったということか。
当時の感想としてコメディとしてもアクションとしても面白くて、スーパーカーや金髪美女やジャングフード、イケイケなサントラ、強くて面白くてカッコイイ友情など、年頃の男が好きそうなモノ、憧れそうなものがビシッと詰まった宝箱のような作品だと思った。
大人になった今思えば、生活に無駄で、普通にしっかりと生活をしようとするなら誘惑されてはいけないモノのオンパレードで、”破滅の教科書”のような作品だったなと。まさにバッドボーイズだ。
そんなことを考えているうちに、青春時代の自分は”なんで大抵の大人はバッドボーイズのような楽しい生き方を選ばないのだろうか?”と疑問に思い、「自分は絶対に彼らのような生き方をするんだ」と思い上がっていたことを思い出す。
そんな青春に憧れたシリーズ映画が、大人の分岐点とも言える30歳になった時期に続編が登場するなんて、なんか試されてるような気分だ。
内容を見てみると、相方の一人が昔と変わらない派手な生き方を選び、一人が孫が誕生し落ち着いた生き方を選ぼうとしてるというストーリーであった。
バッドボーイズ3 フォーライフの感想・評価
原題 | Bad Boys for life |
制作国 | アメリカ |
公開年 | 2020年 |
監督 | アディル・エル・アルビ。ビラル・ファラー。 |
キャスト | ウィル・スミス。マーティン・ローレンス。アレクサンダー・ルドウィグ。ヴァネッサ・ハジェンズ。 |
脚本 | クリス・ブレムナー。ピーター・クレイグ。ジョー・カーナハン。 |
命を狙う悪童は自分の息子だった
この手のアクション映画に予期せぬ展開など期待してないのだが、まさかのサスペンスな展開が用意されていた。
ウィル・スミス演じるマイク刑事を復讐リストに入れ殺すよう息子に頼む女性。基本的にはその息子が復讐リストの人間全員を殺し、マイクを追ってドンパチするという内容の映画。
マイクを追う息子の母というのが、マイクが若い頃に交際し最後は裏切る形で別れてしまった女性。マイクのせいで逮捕され収容され、刑務所でひたすら復讐を目論んでいた。
彼女は刑務所に入る前に妊娠をしていたが、そのことはマイクには知らされていない。
彼女の息子は間違った認識を植え付けられている。マイクが自分の家族を奪ってめちゃくちゃにした最低の奴で、彼を殺すことで自分の父(勘違い)へのレクイエムになると信じていた。
息子は復讐リストの人間を順調に殺していくと、「父に捧げる」と涙ぐむシーンがある。なぜ悪役に感傷的でドラマティックなシーンが入るんだろうと違和感あったが、まさかマイクの息子だったというオチは想像もできなかった。
派手なドンパチ模様や男気あるラグジェリーを観てスカッとできれば良いぐらいの映画だと思っていたのでビックリ。
顔のパーツや体のシルエットがそっくり。よくぞスタイルの良いウィル・スミスと似た若手俳優を探してきたな。
最後、彼はマイクが自分の父親だと気付き、マイクも息子の危機を救う。重罪を背負った息子に面会に訪れたマイクが、救える唯一の方法があると含みを持たせエンディング。
もしかして息子を主体にした次作が予定されているのだろうか?
興行収入はコロナの影響があっても大幅に黒字だったみたいなので、次回作も期待できそう。
孫が生まれリタイアしたいマーカス
独身で相変わらずイケイケなマイクと違って既婚者のマーカスは丸くなっている。
マーカスは娘に子供が生まれ、おじいちゃんになる。
赤ちゃんをみて泣きそうなマーカスを見てマイクが「やめろ」と呆れるシーンがある。シリーズのファンであればマイクの言い分に寄りたいが、常識で考えれば孫を抱っこして泣きそうになることの方が正解。
マイクからの緊急の呼び出しにファミリーカーで迎えにいくマーカス、「あんなダサい車」と嫌がるマイク。お爺ちゃんがスポーツカーを乗る方がおかしいだろ。
前作まではマイクが大人でマーカスが子供じみてるような印象がだったが、このシリーズでは逆にマイクが子供っぽく見えるシーンが多くなった。観てる自分がオッサンになってしまったせいか。
仕事をやめてゆっくりしたいマーカスと、まだまだ解散はさせないと引き止めるマイク。マーカスの意思は強く話の終盤までリタイアするとつっぱねていた。
映画の最後には二人揃ってバッドボーイズは永遠だ!とリタイアを撤回する。
が、現実問題、今のマーカスがマイクの仕事に付いてくことはできるだろうか?マイクはマーカスのことを必要だと思ってるみたいだが。
もっと若くて動ける相方を見つけノウハウを叩き込んで教育を兼ねて仕事をした方が良いかと。
世の中にはいくつになっても若さを保ち、仕事面でもパフォーマンスを変えない鉄人がいるが、その人の周りも永遠なわけではない。横並びだった人が突然いなくなることは寂しいことかもしれないが、人生の進め方は人それぞれ。
最近、大好きなGACKTが20年一緒にツアーを回っていたギター2人を別の若手にチェンジさせ、ファンの間で賛否両論があった。いつか来る悲しい決断を勇気を出してしたGACKTが男らしくてかっこいいなと思った。
そんなこんなで何年も一緒に仕事をしてる相方との友情、終わり方について考えさせられた。
仮にバッドボーイズのような物語が日本にあったとしたらリタイアを認める形にするかもな、桜は散ってこそ美しい。アメリカ映画は永遠という形のハッピーエンドにしがち。
ハイテク部署AMMOにヴァネッサ・ハジェンズ・・
バッドボーイズの二人が所属する警察署にも、今の時代に合った新しい部署が作られている。
訳有りなメンバーが集まって、ハイテクを駆使して特殊捜査を行っているのだが、その部署を率いるトップがケリーという女性。この女性をヴァネッサ・ハジェンズが演じている。
ケリーという女性は頭がキレて勇敢なキャラ。アクション映画に登場しがちなワイルド系美女である。ちょっとしたヒロイン的立ち位置でもある。
彼女がポイントになる場面が多いのだが、演じているのがヴァネッサ・ハジェンズというのが問題あった。
この映画を観た時期はコロナの影響で自粛ムードだったのだが、彼女がコロナに関して下らない発言をし話題となっていた。
当時の彼女の発言というのが「7月までかかるっていうのはデマだと思う。ごめんなさい。でもこれはウイルスよ。それはわかっているけれどみんなが感染したとして、人はみんないつか死ぬ。ひどいことだけどそれは避けられない」という内容。
炎上した後に更新したインスタのストーリーでは「昨日の発言が文脈を無視して受け止められたことに、今日気がついたの。今は本当にクレイジーなときよ。私は家にいて、人と会わないようにしている。みんなにもそうしてほしい」と謎の上から目線。
さらに炎上した挙句にようやくTwitterで「私の言葉が今のアメリカや世界の状況を考えると不適切で無神経なことに気がつきました」「私の言葉がどれだけインパクトを持つのか、気がつくきっかけになりました。このクレイジーなときに、みんなが外に出かけず健康でいてくれるよう祈っています」と正式に謝罪。
クレイジー、クレイジーって英語にも色んな動詞・形容詞があることを彼女は知らないのか。
こんなバカな女優が精鋭部隊のトップを演じても説得力がない。観た時期がコロナと丸被りだったこともあってか、色々と残念であった。「サーティーン〜あの頃欲しかった愛のこと」という彼女のデビュー作は好きで何度も鑑賞してるのだが、その映画で彼女が演じる頭の悪い中坊の説得力はガンガン増したけど。
このハイテク系部署のAMMOはそれぞれキャラの濃いメンバーが集まっている。彼らがバッドボーイズの二人を援護し活躍するのだが、メンバー個々の奥行きが中途半端であった。欲張って華を広げようとして半端になってしまった印象。
本来はVenessa演じるケリーが強いアクセントになるはずだろうが、コロナでの失言がタイムリー過ぎて真っ白な気持ちで観れなかった。
変にグロいシーンが多い?
前作とは比較にならないほどグロいシーンが多い。暗いシーンも多い。
明るいアクションコメディから、ディープ系のアクションコメディに変貌してしまってる。
個人的にグロさを入れるほどリアリティを作る意味を感じなかった。
観れる、耐えれる対象が生まれてしまうのは勿体ない。
敵が自分の知らない我が子だったというオチも冷静に考えれば怖い。この息子の暴走の根元が女の根強い恨みだと思うと更に怖い。
サスペンスアクションコメディ。