たまに友人経由から某ビーチのチケットが安く買えるだの、ただで貰えるだの話があるが、「おっ」と思いながらも「くれ!」とはなかなか言えない。

大人になった今の自分がそこに行くのには余計なノスタルジーが邪魔して切なくなるから。

もっと極端に歳を重ねた時に、改装を重ねて別物になった時ぐらいに行ってみたいものだ。

毎年、夏になるとそのホテルの一室から見下ろすビーチを思い出す。

そして、冬になってもホテルから見下ろすビーチを思い出す。閑散としていて寂しい感じが大好き。

ただ風景が良い云々という問題ではなくて”思い出しがちな場所”なのだ。


・ファーストフードのヘルプ

高校1年の頃に某ファーストフードでアルバイトしていた。4月から働いて仕事もだいたい覚えた7月頃に、ビーチ内に入ってる店舗へのヘルプが回ってきた。

行き方が謎だったが、先輩に口頭で簡単にバスの説明をされた。なんとなく行ける気がしたので「はいはい」という感じでOKを出してしまった。当日、同じ年のやつとチャリで一緒に行く約束をした。(バス代をケチりたい年頃)

しかし、一緒に行く約束していたやつに裏切られ、結局は一人でチャリでロングビーチに向かうことに。当然、道に迷って遅刻した。(よくたどり着いたな)

確か、大きな木の下あたりの駐輪場ともいえないような、変な場所に自転車を止めた。

真夏で汗だくになりながらも駆け足でロングビーチ方面に向かう。猛暑日で汗だく、スポーツ以外であれだけ汗を流したのは人生で他ないだろう。

どこからプールのエリア入って良いのか分からず、自分はボーリング場から恐る恐る侵入して行った。特に誰かに呼び止められたり、確認されたりすることもなくビーチ内に入れた。

お店に着くとめがねをかけた細い見覚えのあるマネージャーさんに迎え入れられる。「迷った?笑」と言われた。やはり初めて来る子は遅刻しがちということで慣れてるようだった。

サッと着替えながらも、近くのシフト表を見ると自分を裏切った奴と同じ店舗の女の子2人の名前があった。全員高校生だったのだが、それ以前に行った人も皆高校生だった。なぜだろうか?若い子を率先してヘルプに呼びたかったのか・・・。

働いた時間は遅刻したせいもあってか2時間あったかなかったかぐらい。厨房から覗くビーチがきらめいて見え、何時間でもここで汗を流したいと思ったぐらいに楽しかった、なぜ遅刻してしまったんだと・・・笑。

仕事よりも来るのに疲れたという感じで終了し、すぐに着替えて買える準備、もっと働きたかった。終わった後に好きなセットを食べれるということで、自分はテリヤキバーガーセットにジンジャエールを頼んだ。バッグヤードで同じ時間に上がった女の子2人と裏切り者と4人で和気あいあいと食べた。

女の子二人はプールの前から出てるバスで帰り、自分と裏切り者はチャリで帰ることに。

「一緒にチャリで帰る」と言っときながら、彼はバスで来たことを明かす。じゃあ2ケツしなきゃダメなやつか…。自分は裏切り者を後ろに乗せながら、行きよりも酷い汗をかいて帰りましたとさ。

確か途中のスリーエフに寄ってなんか買って、その後には自分が後ろに乗ったかも?

帰ってる途中に、そいつが今日来ていた子の片方を好きだということを告白しだす。

知らんがな、なら一緒にバスで帰っとけ。


・採用

自分は前のバイトをバックれた後に清掃のバイトに応募した。面接は会館のようなところ。大勢いたので落とされると思っていたが、まさかの採用でビビった。

プールの見えるホテルで働けるのは当時のガキんちょな自分にとっては嬉しい経験だった。

基本的に男性はお客様の使った部屋のシーツなどを回収するのとゴミを捨てるのが仕事で、その後に女性の方が部屋の汚れの拭き上げと新しいシーツを設置したり石鹸類を入れるのが仕事という風に別れていた。

女性たちが部屋に設置するシーツや石鹸類は近くのワゴンにまとめて準備しておくのだか、それは男の仕事であった。


・お客様

いろんなお客様がいたが、個人的に印象に残ってる方のほとんどが個人情報になるので心に閉まっておかないといけない。

ホテル住まいや単身赴任の方に関してはフロント側がちょっとした家族のようなものなので、そら家族しか知らないような話も多い。朝の朝礼で住まわれてる方の話を聞くのは日課だった。(自分ら清掃バイトが知るのは一部だが)

ちなみにスウィートルームの清掃のときは、必ず社員さんと一緒に入らないと行けない。ステイという複数日泊まるお客さんの荷物を置かれたままの部屋は、普通の部屋であっても女性と一緒に入らないといけない。ダブルチェックが厳しかった。

ホテルなので家具や壁、床は皆同じなのだが、私物の置き方やアニメティを使う場所など、トリッキーで驚くことが多かった。それぞれの匂いや恰好が部屋に染み付いてて面白く、人間観察の面白さに気づいた場所でもあった。

18歳までに人間性のほとんどが決まるというが、18歳までにここでバイトしていなければ他人への関心が薄い人間になっていたことだろう。人それぞれ面白いのだよ。


・女性

当時はえびちゃんのような色白で気取ったタイプと、倖田來未のような色黒で手軽そうなタイプの両方がトレンドであり、美白ブームとギャルブームの狭間にあった。

当時から色白派だった自分はビーチで稀な美白のお姉さんを見つけては目で追っていた。(ビーチでは色白のが稀な存在)。

ただ、当時の自分には廊下を水着姿で歩く女性は目の毒であった。遠くにいると見る癖に近くにいると見れないなんてクズ過ぎ。

さらには帰りのバスの中でプールで遊んだ後の同い年ぐらいのカップルはさらに見ていて辛い…笑

15歳なんてそんなもんか。


・飛び込み台

飛び込み台から飛び込む人たちを見ては「おー!」とか「え〜!」とかいちいち反応してた。

逆立ちからの状態で飛び込むような勇者もいれば、飛び込み台の上でずっと座り込んで下にいる仲間に野次られたり応援されたりする人もいた。

意外にも頑張って飛び込む女性も多いことにもビックリした。「この子は絶対無理だろ!」って思うような子が台に上ると「頑張れ!」と心の中で全力で応援したものだ。

遊園地のジェットコースターとは違った恐怖があるだけに、あそこでトリッキーなことをしてた方々は尊敬してる。


・部活合宿

某有名私立高校の合宿の時はペットボトルのゴミが大量に出て大変だった。

プラクルのゴミは通常大きい袋1つあれば10部屋ぐらいは保つのだが、その部屋に関しては2袋は余裕で消費し、それを抱えて一旦捨てに行っては仕事に戻るのが辛かった。

一度、裏階段のところに同じ部内恋愛らしきカップルがイチャイチャしててビビった。

さぞ、楽しい思い出を作って行ったことでしょうね。。笑


・セミナー

セミナー系の人が集まる日は賑やかで好きだった。頭に「犬」や「猫」と謎のお面を被って廊下をウロウロしてる様は異様だった。

普段はお客さんにシカトされがちな立場であったが、その集団は笑顔で挨拶してくれる。そのセミナーの主催の人の本を読んでみたりもした。(宗教でも洗脳でもないタイプのセミナー)


・チップと冷蔵庫

たまにお金持ちのお客さんや、海外の方がベットの脇やテーブルの上に1000円だけ置き去りにしてたりする。いわゆるチップというもの。

慣れるまでに本当にもらって良いの怖かった。だって誰に対してのチップなのか謎だし、これは第一発見者のもので良いものなのかと?。。先輩に聞くと「暗黙の了解でもらっとけ」と言われる。本当に良いのか・・・。

チップの他には冷蔵庫の中にホテルの売店で買ったハーゲンダッツやプリンなどが、食べないでそのままにして放置されていたりする。

食べ物でも忘れ物的な扱いで事務所に届けるのだが、忙しい時期にはそれが大量になり事務所の冷蔵庫がパンパンで入らなくなる。部屋の冷蔵庫に入れっぱだと後に入る女性に怒られるし、外に置いて放置すると溶けたり傷んだりするし・・・。忘れ物のために何度も階段で事務所を往復するのは酷であった。

運良く時間に余裕がある時は「もういいや」と食べたりもしたが、そんな暇さえもないのが現実である。ほとんどは事務所に届けるまでに溶けたり傷んだりしてた。

あれだけのデザート類をお客さんデータと共に1か月保存するってヤバすぎるだろ。時にはお菓子や飲み物が買ったまま大量放置して帰ってしまう人も・・・手間がかかって仕方ないが、お客様だから仕方ない。

「要らないです」という意思表示をするならば、未開封でもそのままでもゴミ箱に捨てるのが正しい行動だそう。ゴミ箱から外にある限りは”忘れ物扱い”なのだ。

ただ、個人的にルームサービスの食べ物が多めに残っているのは嬉しく、摘んで食べては幸せを感じていた。よく映画でウエイトレスがやるシーンを観ては「あ、これやったことある!」と得意気に自慢してる。(自慢になるのか?笑)特にクリスマスシーズンの鳥系の料理は最高だった。


・洗濯室

自分的にはシーツを剥がしたりゴミを捨てる仕事は辛くなかったのだが、新しいシーツ類を地下の部屋から運びワゴンいっぱいに積んでおかないといけない仕事が辛かった。

必ず洗濯が終わってない種類のものがあり、それを洗濯担当の人に「トイレタオルないですか?」や「温泉タオルはいつ頃できますか?」と催促しなければいけない。それでたまに「ちょっと待て!」と怒られたりするのが怖かったのだ。。笑。。

一人だけ同い年ぐらいの女の子がいたので、その子が優しくて言いやすいので常に探してた、でも常にいるわけでなく、いない日は他の階の人に持ってかれない早い時間帯にサッと取りに行った。

一時期、その子に勘違いされてムカついでムシャクシャしてた時期があった。けど、元といえばアテにし話しかけ続けた自分が元凶である。怖い人を避けて逃げた自分への罰だったのさ。

オーマイゴットだ。。名前知らんけどごめんなさいだ。。


・厨房と別館

ある程度仕事を覚えて信用されていくと、普段自分達が任されるのと別館の配置されたりする。

別館に行くまでの廊下が楽しかった。売店、ゲーセン、洋服屋、サロンなどあり、そこの前を通るのかなぜか好きだった。

たまに知らない場所に到達したりすると嬉しくなったり、冒険してるような気分であった。

最初は新鮮で楽しいのだが、実は仕事の内容が少々複雑で苦労も多かった。特に更衣室から別館に向かう途中に厨房を通るルートは最高に苦手だった。

飲食のピークの厨房の怖い感じは知っていたが、ホテルの厨房の空気感は独特である。正直シェフさんたちが怖くて仕方なかった。エレベーター待ちでイライラしてエレベーターの扉を蹴ってたり、とにかく1秒でも無駄にしたくない感じだ。(確かに従業員用のエレベーターは非効率的な動きをしてて皆イライラしてたが)

たまにルームサービスのお皿や残り物を厨房に返しに行ってたのだが、置くスペースがないと「置く場所ないですか?」と聞かなければいけない・・・恐怖であった。。笑

遠回りになっても厨房を通りたくないと、館の間の移動に無駄な時間と体力を使い、本館よりもヘトヘトになっていた。

洗濯室のケースもそうだが、怖い人やピリピリした人に話しかけるのが苦手で避ける傾向があって、それで損することが多い。なので、この時の反省を忘れてはいけないな。。

厨房も悪いことばかりでなく、たまに和服の美人を見かけた。インパクトがすごく忘れられない。若き日の思い出補修もあると思うが、その後も一般女性であの方以上に綺麗な和服女性を見ていない。今頃はさすがにおばさんになってると思うが・・・。


・シーツの入れ物の担当者

剥がしたシーツ類などがいっぱいになってくると、今度はそれは下のクリーニング業者の入れ物にいれないといけないのだが、忙しくて泊まるお客様が多い時はすぐに入れ物がいっぱいになってしまう。

常に上から踏みつけてたくさんシーツ類が入るようにしてくれる担当の方がいるのだが、下りてくるモノが多いとピリピリしてくる。「シーツ」と「ピロ」、タオル類全般と入れ物は分かれているのだが、忙しい時期にその種類を間違えるとすげー怒られる。たまに自分じゃなく、前に入れた人の間違いだったとしてもとばっちりで怒られることもあった。

一回、先輩と話しながらシーツ類を入れ物に投げてる時に、話に夢中で入れ物を見ないで投げ続け、つい踏みつけ担当の人をシーツ類で埋めてしまったことがある。あの時はごめんなさい。

そして、たまに思い出して笑ってしまう件もごめんなさい。


・夏と冬

個人的にはビーチが賑わう夏場の方が刺激的で好きだったのだが、冬場も冬場で魅力たっぷりだった。人は少なく仕事も少ない。気合い入れて仕事すれば時間が空くので仲良い人の担当の階に行っては手伝いながら話したりした。

また、ビーチに誰もいない寂しさも好き。雪が積もった日は何とも言えない美しさがあった。

夏に向けて工事などしてると「すげ〜」と感動したりもした。

夏の始まりと終わりをしっかり実感できていた点、夏の尊さを常に感じることができた。


・BGM

プールサイドで流れる音楽はバイトのBGMとしては最高だった。

覚えてる曲は「恋のマイアヒ」やレンジや大塚愛など。

当時の自分は洋楽ヲタク全開だったので邦楽はGACKT以外に聴かなかったので、ビーチサイドで流れてた邦楽が数少ない00年代邦楽の思い出であった。


・ホテル前の川沿い

当時の自分はガキんちょの分際でありながらも5歳年上の女性に好意を抱いていた。

同じ中学出身で、休憩中はよく話し、1回その子と仲の良い子とで車で家まで送ってくれたりもした。(冷房のない謎のミニクーパーで)

その女性は夏の間だけバイトしに来ており、夏が終わればいなくなってしまう。夏の限定雇用が終わる最終日に、その女性に連絡先を聞こうと必死になっていた。

確かその日は休憩中も仕事中もほとんど会えず、事務所の横だがタイムカードのところで「んじゃ、今日で最後だから、またね」的なことを言われただけであった。

「うわー、これで終わりだな」と思っていたが、帰り道の途中でまさかのその子発見。

その子は原チャで来ていたのだが、川沿いの道の直進のところだけケツに乗せてくれるという。

緊張しながらも原チャの後ろに乗せていただき、わずか数メートルだけ直進・・意味あったのか?笑

バイクを下ろしてもらって少し間があった時に、勇気出して連絡先を聞いた。

自分の緊張感が伝染したのか、なぜかその子までガチガチな感じになっていた、無駄な緊張感すみませんでした。。笑


・ボーリング場と瓶コーラ

4つぐらい年上の先輩に気に入られたのだが、その人は寂しがり屋で、時にバイトの後にホテル近辺でたむろして長話に付き合わされたりした。

だいたいメンツはもう一人の先輩と3人である。(もう一人の先輩はSMAPの中居くんと同中というのが自慢のつまらない人)

たむろしに行く場所は大抵はビーチ付属のボーリング場である。まず最初にボーリング場内にある瓶コーラの自販機でコーラを買って、そして座れる場所を探して座り、そこからひたすら話し続けるというパターンであった。

瓶コーラははすぐに飲まず、話すだけ話して、お開きの時間になると、ようやく瓶を空けて飲むのであった。

つまり、コーラを飲む=帰れる合図であった。

一回、話が3時間ぐらいに及んで、さすがの自分も「帰りたいです」と言いたい時があった。ずっと時間を気にしてみたり、無言のメッセージを送り続けたのだが、あまり意味がなかった。。笑

あの日のコーラの瓶の空く音は、歴代の中で最高の音であった。(味はぬるくてマズイけど)

自分にとって瓶コーラの「シュッ」と空ける音が快楽なのは、コーラの味が好きなこと以外に、この先輩のボーリンング場での長話の思い出があるからだろう。

その先輩とはホテルを辞めた後も、一緒に夏祭りに行ったり食事に行ったり・・・そして、服を押し売りされそうになったりと、楽しい思い出と苦い思い出の両方がある。。笑


・バス停

きりよくバス停に向かえた場合、少し待ったぐらいにバスが到着するのだが、少し誰かと話してたり着替えがダラつくと長い時間を待たなければいけなかった。

待っている間はずっとIPodで音楽を聴いたりして待っていたが、このバス停の前で聴いた音楽の数は相当だ。自分的にIPodの時代で最も充実した音楽ライフを思い返せば、間違いなくこの時期で、特にこの場所であった。

たまにパートのおばちゃんに遭遇し、車で拾ってくれたりもした。家の方向は若干違いのに、なんて優しいのだろうか・・・今でも感謝してる。

けど、音楽聴いてる途中に何度か良い曲のサビの部分でササァーって目の前に来られてイラっとしたのは内緒である。。笑

ちなみにこのバス停から斜め前にあるお店が何なのか知らず、学校の同級生がバイトしてたことで初めて知った。

ラーメン屋だったのだが、なんせ横からは「ラーメン」の看板が見えなかったので。

ちなみにそのラーメン屋は友人が働いてる時間帯に行ったことがあり、それも良い思い出?

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