Veronica Mars The Movie

自分が古くからハマっていたドラマ・ヴェロニカマーズだが、まさかの打ち切りが決定し、物語は完結しないまま闇に葬られていた。

ヴェロニカの続きがどうなっていたのか?自分の中で憶測して楽しんだりしてたが、数年前に、まさかの映画化が決定していた。

制作費を出してくれる場所が見つからないものの「キックスターター」という寄付を募るサイト経由で映画化の制作費を集めるという。当時ニュースで知って「本当にうまくいくのか?」と疑問だった。

寄付のプロモーションのために製作されたミニドラマの動画を見て興奮した。あのヴェロニカマーズに出演していたキャストたちが再び共演している・・・(しかし皆老けたなとも・・・笑)

そのミニドラマの動画はすでに消されているが、当時、何度も見返した気がする。どんだけヴェロニカロスに陥っていたのか。

いざ寄付を募ると半日で目標金額に達したことがわかった。

主人公ヴェロニカを演じたクリスティン・ベルは、「『ヴェロニカ・マーズ』のファンが素晴らしいのはわかってたけど、ここまでパワフルとは想像つかなかったわ。勢いが止まらないなんて、ヴェロニカみたい」と驚く。
寄付期間は1カ月だが、わずか4時間24分で100万ドル(約9600万円)に到達し、過去最速記録を更新。その後もどんどん寄付金は集まり、200万ドル到達には半日かからなかったという。残り29日あるのでさらに寄付金は集まりそうだ。引用元:http://www.excite.co.jp/News/world_ent/20130315/Dramanavi_019647.html

このニュースを見て、めっちゃ喜んだのを覚えてる。しかし、日本での需要はとっくになさそうなので、日本公開はないと思った。(実際になかった)

最終的に目標額を大幅に上回る寄付が集まったということで、映画の内容はさらに濃くなったことだろう。アメリカでの公開前の主演・クリステン・ベルの挨拶を見ると「ファンのための作品」と強調している。ファンの寄付で完成した映画だから、そりゃそうなるか。

ギャラが確定する前から出演を熱望するキャストが続出したということで、もともと撮影に関わっていた人たちの作品への情熱も尋常ではない。


・ストーリー

ロースクール卒業間近のヴェロニカ・マーズは、故郷ネプチューンと、女子高生探偵として駆け回っていた日々を封印したつもりだった。
そんなある日、ニューヨークで大手法律事務所の面接を受けている最中、殺人容疑を着せられたという元彼のローガンから電話がかかってくる。
ローガンの弁護士を探すためにネプチューンに戻ったヴェロニカは、ローガンが取り調べで不当な扱いを受けていることを知り、
いつの間にか封印していたはずの世界に引き戻されていくのだった。


・ヴェロニカの同級生の変化

当時、20代半ばにして女子高生を演じていたクリステンベルだが、この映画版では30代半ばにして今の自分とほぼ同い年の27、8歳の女性を演じている。大学1年で憎き地元のネプチューンから抜け出し、大学を変え続け、最終的には司法試験に合格しニューヨークの大手弁護士事務所に就職しようとしてる。

▼ヴェロニカ自体は、演じてるクリステンが映画前に出産を果たし、やや丸い印象になっている。ややムチっとして見えるシーンもあるが、相変わらずの美人。ただ目元に年齢が出ているかな・・と。(撮影当時で35歳なので仕方ない)

▲高校生を演じてるときは違和感はなかったが、今20代の女性を演じるにはハードルが高い印象。どう見ても20代半ばよりも成熟した女性にしか見えない。

ドラマ版が始まった頃、当時20歳半ばだったクリステンが高校生を演じてると話題になっていたが、10年後に30代半ばの彼女が映画版で20歳の社会人を演じるは、ちょっと大変だったのかなと。それでも普通の白人女性よりも若々しいが。

▼海兵隊になったローガンは、アフガンの作戦に参加するなど意外性ある将来を辿ってる。

▲少し老けた感じもする。雰囲気も落ち着いており、ドラマ時代のお調子者な発言も一切ない。大人になったヴェロニカと釣り合わせるために調整したのか、自然な成長過程だとしたのか。

▼そのローガンの友達のディックは相変わらずのウザキャラ。仕事は何してるか不明だが、未だに親の財産に頼って遊んでるのだろうと。映画の中での出番はかなり多い。

▲この俳優、キャストの中でもかなりのイケメンなのだが、こんなうざい役をやらされてかわいそうに・・・。資金調達のプロモーションにて彼の姿が見えるとかなりテンションが上がったのは、実は彼が好きな証拠だろう。

▼自分が映画版を見た中で外見の変化に驚いたのはマックだ。ただのパソコンオタクだった彼女はドラマ時代は適役のように思えたが、イケイケな容姿になった今は違和感がある。

▲まるで歌手のpinkのようなベリーショート。普通に良い女。こんなかっこいい女がプログラマーだなんてありえない!笑

しかし、マックは給料が良いという理由で、学生時代にヴェロニカと敵対したケインソフトウェアに勤めているという。(映画の最後ではヴェロニカの探偵事務所で秘書になったようなシーンがある)

▼アフロっぽい髪型のウィレスは、かなりさっぱりしてる。人懐っこい犬のような笑顔は相変わらず。

▲学生っぽさバリバリだった彼が大人っぽくなってるのに時代を感じる。母校のパイレーツで教師を務めながらバスケ部の2軍コーチをしているそう。ウォレスらしい健全な経歴。ヴェロニカに生徒のファイルを盗むように頼まれると「今の俺は先生だぞ!」と怒るシーンもあった、さすがは真面目くん。(結局盗んだっぽいけど)

見ていてむしゃくしゃするコリーはドラマ時代から苦手なやつだったが、今はもっと苦手なやつになっていた。自分で商品を扱って個人事業主になっていたが、同窓会であったヴェロニカに対して、挨拶もほどほどにいきなり自分の商品説明をしていた。ダクトテープや地図で作った財布を売りさばいてるようだ。

▼不良バイカーであったウィービルだが、彼に関してはドラマ版の後半ですでに良い奴に変化していた。映画版では結婚して子供もおり、優しい父親になっていた。

▲今は自分でバイク屋を営んでるようだが、バイク自体は子供のために乗っていないらしい。しかし、映画の最後ではバイクに乗って仲間と走りに行く姿があった。

しかし、ウィービルといえば、最後のシリーズで、秘密の装置を手に入れて、その装置をその後どうしたのか?今回の映画版との脚本の繋げ方的になかったことにしたかったのか、気になっていたその後が抜けてるのは悲しいこと。


・ヴェロニカと副保安官のレオ

かつてヴェロニカに恋していた副保安官の男のレオだが、ヴェロニカがスーザンの事故の話を聞きに事務所を訪れる際には、すぐに反応を示さず淡々としていた。やはり失恋した相手ということで意地になったのか?

このレオとヴェロニカの再会シーンがすごい好き。

ドラマの中でヴェロニカに騙された格好になったレオだが、本当に性格がよく、惜しい存在であった。せめてずっと友達でいてほしいぐらいに。(役立ちそうだし)

当時、レオの前に色気ついて登場し惚れさせたヴェロニカだが、映画ではカジュアルな格好でふらっと会いに行った。

その挙句、レオに当時は着飾って大好物のピザを持っていた昔は惚れても、今のお前は何だ的な皮肉を言われる。

ヴェロニカは「嫌な奴!」と照れくさそうに笑いながらも、昔と同じように持参したピザをレオに見せる。そして、レオはニコッとしてスーザンの事故に関して話始める。

昔振られた相手であっても、自分の好物を覚えていてくれて、しかも持参してくれるなんて、そりゃ誰だって嬉しいだろう。ヴェロニカの女性らしい計算が見れる珍しいシーンだ。

地元に戻って、昔の人に会うたびにトゲを見せていたヴェロニカも、一度は自分のことを本気で好きになってくれた男に対しては優しい接し方をしてる。ある意味、ローガンやピズと一緒にいる時以上に、彼女の女性らしい挙動が見れたシーンだと思った。


・ヴェロニカの一眼

「このメモリーの容量いくつなの?」「RAWファイルだから容量食うの」というヴェロニカのセリフを聞いて思い出した。自分がこのドラマにハマっていた頃に、Nikonの一眼レフに憧れて購入し、フォトマスター検定とかいう謎の民間資格を取得していたことを。

ヴェロニカマーズシリーズの中にはカメラ好きにはたまらないキーワードが多く散りばめられているので、カメラ女子なんかにオススメしたい作品である。

ちなみにRAWファイルというのは、写真を実物大にまで引き伸ばせる、最高画質の写真データのこと。探偵さんなど撮影した写真をズームして隅々まで分析したい人はこの手のファイルで撮影するのだろう。写真数枚だけで1Gは余裕で食うのでメモリー代は半端ないだろうな。

ちなみにパソコンはMacintoshがメインだったドラマと違い、映画版はサムスン製のノートばかりが登場する。

Macintoshの小物はそのまま使って欲しかった。Apple信者=ヴェロニカが馴染みの構図だったので。


・切れ味がさすが!

彼女はラストツアーと評して1回限りの探偵復活を心に決めるが、「最後の1口だけで済ませるジャンキーなんている?」と、昔と同じようにローガンとドライブに出掛けることで、思い出した感覚が今後も癖になりそうな自分を懸念していた。

ローガンに協力するために地元のネプチューンに戻ったヴェロニカだが、実家の自分の部屋に隠してあったスタンガンや催眠スプレーや偽lDを取り出し思い出にふけるシーンがある。シリーズファンも一緒になってあの頃のヴェロニカの行動を回想したに違いない。

部屋から引っ張り出した、昔愛用していたスタッズの付いたバッグ肩にかけて部屋を出る瞬間、「探偵復活!」と顔に書いてあるようだった。

そのシーンから流れるように、家の外にチャラい高級車でドヤっと待ち受けるローガンに迎えられるヴェロニカの姿が、昔のヴェロニカそのまま。見てるこっちも昔の感覚をそのまま思い出した。

過去のドラマでも「誤解している人を助けるために」という構図からスタートすることが多いが、この映画版では誤解されているローガンを助けるために物語が動く。しかし、なかなかキャリーの殺人に関して決定的な証拠は見つからない。

マックたちに騙されて同窓会に出席するが、そこでスーザンの船の事故の関心を抱き、キャリーの事件との関連を発見し、物語は急展開する。予期しない人が急にキーマンに登場するという、ヴェロニカらしい展開だ。

また、事件のために彼氏とダメになってしまうのも、昔のヴェロニカそのまま。ローガンの事件に協力するために長くネプチューンに滞在し、ついには恋人のピズとの約束を延長しようとした挙句「もう別々の道を歩くことにしよう」と振られてしまう。さらに採用されそうだったニューヨークの大手弁護士事務所への採用も白紙にしてしまう。1つの事件を解決するために一体いくつの犠牲を払うのか・・・。本当に変わらない。

結果的に、9年前のスーザンの船の事故はジアの仕業で、そのことを知っていたキャリーをジアは危惧して息の根を止めたということが判明。そのことを警察に報告に行こうとするが、やはり警察はローガンを犯人ということにしたいようだ。数年間不正調査の多いネプチューンだが、警察たちの悪態がひどく、結局は権力者たちとの対立も背負う。ローガンだけでなく、ウィービルに罪を着せようとする事件も起き、後半では予期しない形で警察との攻防を繰り広げる。

父のマーズと警官のサックスが乗り合わせていた車が大型のトラックに衝突され、サックスは亡くなり、父のマーズは重症に。ピズとの別れからワンツーパンチで気を落としたヴェロニカはローガンに甘え、ヨリを戻す。ここの展開も昔とそっくりだ。ただ映画全体でローガンの印象が紳士に化けていたので、学生時代のチャラさは皆無でもはや自然な流れのように感じた。

ジアとルークに一泡吹かせようと行動に出る姿が、ファンが見れた最後のヴェロニカマーズの探偵姿だろう。10年以上前に始まったシーズン1ではヴェロニカとローガンはリリーの事件をめぐっていがみ合っていた。最後の最後にこのような展開が待っていたと考えると、やっぱり凄いシリーズである。

ここからの急展開が非常にスリリングであった。ローガンとともにジアの自宅を包囲し、そこからジアから事件の自供をさせようとする作戦。しかし、ジアの家にまさかのコブ(ヴェロニカの同級生)が登場しその場で・ックスをする。(ジアには婚約者がいたのに)ジアがコブを誘惑してキャリーを襲ったと憶測したヴェロニカは、コブが帰った後にキャリーの自宅を訪問する。

ジアに真実を自供させようとするが、スーザン事件の真相は、想像以上に荒んだものだと知る。コブにはめられ弱みを握られていたジアは、数年間コブのおもちゃにされていたことが分かる。しかし、帰ったはずのコブは二人の会話をラジオ経由から聞き(ヴェロニカがジア宅の盗聴にために仕込んだ)、コブはヴェロニカと会話中のジアを窓の外から銃撃し殺そうとする。

お腹を撃たれて倒れるジアに気を使いながらも、ヴェロニカは家の中に隠れる。ジアの家に戻ったコブの手にはもちろん銃。見つかったら間違いなく殺される。このかくれんぼの緊張感は、過去ローガンの父から逃げるシーンと被るレベル。

「パパ愛してる」と自分がコブに殺されることを考えてメール姿もあるが、勇気を振り絞ってスタンガンと睡眠スプレーでコブを襲い、そのまま家の外に逃げる。しかし、外に出る扉はコブの手によって閉鎖されており、再び暗い倉庫の中でコブと隠れんぼするハメになる。

いくつかあるゴミ箱の中に、たまたま居合わせた猫を隠し、コブに自分がゴミ箱の中に隠れてるかのように見せかけ、コブがゴミ箱を撃ってる間の後ろからゴルフパターでコブの頭を殴る。←すげー頭の回転・・・笑

コブが逮捕され、ローガンの身の潔白が明かされ、さらには父のキースは意識回復。さらにはずっと街をダメにしていた汚職保安官の不正も明かされる。


・セレブグループとローガンの関係

ローガンといえば、高校時代からセレブグループの顔であり、番長的な立ち位置であった。今作でもセレブ友人のディックと仲よさげな現在が出てくるが、同窓会のシーンでの他セレブとの温度差が気になった。

マックとウォレスに騙されて仕方なく出席した同窓会だが、受付には過去対立したセレブグループの嫌味な女・マディソンが座る。互いに憎しみは消えぬまま罵り合う。

ヴェロニカ「未だにセレブだけが取り柄?」
マディソン「まさかあなたが来るとは思わなかった」(嫌われ者のヴェロニカに対する嫌味)
ヴェロニカ「あなたは10年間そこに座って待ってたのね」(過去の優越感と変わらないセレブへの嫌味)

↑時計の針を巻き戻して地元に帰ってきたヴェロニカのが優勢に見えるが、最終的に元彼のローガンとヨリを戻して弁護士を諦め、地元で探偵事務所の長になった今後を考えると似た者同士に思える。

ローガンとその種のセレブたちは、すでに決別しているのか・・・。このパーティの中でヴェロニカの大学時代の・ックステープがスクリーンで再生されると、ブチ切れたローガンはセレブ軍団と乱闘騒ぎを起こしている。ヴェロニカはテープを流したマディソンをぶん殴りノックアウト、痛快なシーン。

仮に続編があるとすれば、セレブ関連の汚職に気合いで立ち向かうヴェロニカとローガンの構図が目に浮かぶ。それはある種ドラマ時代と変わらない光景なので、需要はないと。


・同窓会シーン

この物語の中でもインパクトある同窓会でのシーン。パイレーツ高校の同級生の現在を知ることができるファン待望のシーン。物語的にもキャリー殺しのターニングポイントになるヒントが多く隠されてる重要にシーンになっている。

「これからスクリーンに故人を映します」と、ドラマ版の中で亡くなったフィリックス、メグの名前も呼ばれる。(どんな同窓会だよ)

この映画の事件の中心になっている歌手になったキャリーの名前も呼ばれる。同窓会に来ていたローガンは同級生から「人殺し!」と罵られ、スマホのカメラを向けられる。かわいそうに。

ヴェロニカの大学時代に流出した・ックステープをめぐって乱闘騒ぎになるが、ヴェロニカのために戦うローガンにウィービル、ピズ、ディックが加勢していたのは意外だった。あのシーンだけで各登場人物の立場がハッキリと分かる。

騒ぎの後に、パイレーツ時代の校長に会うが、ヴェロニカに対して「ずっと退屈していた」と、寂しそうに話していた。

結局は学園内の問題のために奮闘してきた彼女の過去を、今になって肯定する側の人間も少なからずいたと分かる。


・ヴェロニカとローガンの恋仲を冷静に考える

よく考えたらヴェロニカとローガンの関係は周囲を傷つけ続けてる。現実にこんなカップルがいたら、誰も応援したり支えたりしないだろう。物語終盤でヴェロニカは地元のネプチューンに戻り探偵に復帰するが、果たして生活は楽しいのだろうか?孤立は深まると予想。

ドラマの中でも親友の彼女、もしくは親友の彼氏に手を出しており、いずれも互いの恋人がそばから消えた瞬間にデキてしまってる。

また、この映画ではピズがヴェロニカのネプチューン行きを皮肉りながらも、結局は向こうでローガンにヴェロニカを取られてしまってる。(彼女が元彼の窮地のために地元に帰るって・・・笑)

そして殺されたキャリーからすれば、自分がローガンと一緒になれなかった直後に、ローガンがヴェロニカとデキしまったのだから、そりゃビックリだろうな。(自分が死んだ後に彼氏が元カノに会いたがるって・・・・笑)

しかし、昔からヴェロニカとローガンが心の中で惹かれあっていたのは事実。だとすると前戯が長すぎるというか、二人が一緒になるまでの経緯で、何人の人が傷ついているのか・・・。

ローガンの感覚もすごい。母と父と元カノ2人が死んだ地元・ネプチューンで、のうのうと生活を続けられるなんて。(消えた親友のケインとの思い出も残ってるはず)。終わったことを1ミリも気にしない、超図太いポジティブ人間ということだろうか?

もっと言えば、ヴェロニカのニューヨークの大手弁護士事務所への就職破棄だ。ローガンのためにと、安定した就職をドブに捨ててしまってる。ヴェロニカを心配するお父さんは、最後まで不安から解き放たれることはなかった。

ウォレスとマックとローガン。この3人だけがヴェロニカの永遠の友達なんだなと、広がらない彼女の今後が少しむしゃくしゃする。新しい未来に進む彼女の姿も見てみたかった。

個人的にはヴェロニカとローガンは共にニューヨークに移住し、大手ではなくとも弁護士事務所に入り、そこで互いに新しい友達を作り、普通の幸せに進んで欲しかった。もちろん互いに誰も傷つけずに。

180日間の軍のために旅立つローガンとの最後のシーン↓

ローガン「俺たちの物語は叙事詩だ。年月も大陸を超える。」
ヴェロニカ「命が失われ、血も流れた。」
ローガン「あぁ」
ヴェロニカ「帰ってきて」
ローガン「必ず」

↑ヴェロニカがネプチューンでローガンを待つって、改めてすごい結末だ。


・結局、自分にとっての「ヴェロニカマーズ」

きっと、ずっと続編を書きたくてウズウズしていた背景もあっただろうが、ドラマ版からの切れ味ある展開が健在で嬉しかった。

ヴェロニカマーズの良いところは、綺麗なヒーローではないところ。友情にせよ色恋にせよ、必ずどこかに妥協が出てくる。探偵根性で、不正を暴くために彼女はいくつもの犠牲を払う。

正直、見てる方はヴェロニカのすべての行動が正しいとは思えないだろう。本当の正義を各々で探すべく考えさせられるのがヴェロニカマーズの魅力だと。

失敗や後悔をしっかり描き、ヴェロニカ自身の悪い部分も最後まで突き通して描かれたのが嬉しかった。最後の最後に美しくしようとしすぎないか心配だった。

コブを逮捕した後のシーンからは、ヴェロニカの心の言葉でラストまでシーンを繋ぐ。

「変えられない物事を受け入れないと、変えられる物事は変えないと、大切な人を失望させるとしても。

変えられるかどうか正しく判断できたら、それは本当の私?この仕事を選ぶ?

パパは『この街は人を堕落させる』と、確かに八百長をすれば堕落する。

街を出れば勝利だと私は思ってた。でもリングを離れて勝利を宣言できる?

私はこの街で戦うしかない、それが私だ。

ここで泥まみれになったけど、泥を洗い流したら自分を見失ってた。

それならその泥と自分自身の性向を受け入れたら?

私はヴェロニカ。探偵は中毒。

ハロー ヴェロニカ

 


・特典映像でのスタッフとファンの熱気

レンタルしたブルーレイには製作秘話的な特典映像が収録されていた。

キックスターターの寄付サイトで寄付を募って製作しようという会議から始まり、キャストを集めてのプロモーションのミニドラマの撮影風景、寄付がスタートしてから時間単位でのスタッフの反応など、ファンからしたらたまらない裏舞台。

「ドラマは打ち切られたが、皆ヴェロニカのその後が見たい」エンターテイメントウィークリー ジェフ・ジェイセン記者

「熱狂的なファンが多く、昔のロックバンドみたいだ。特別なドラマだよ」ABCニュース クリス・コネリー記者

記者とスタッフのエキサイトしたコメントが多くあったが、それ以上にファンにスポットライトが当たってるのがすごい。ファンの出資のおかげで実現したということで、それは当然だと思うが。

主演のクリスティン・ベルは当時妊娠中だったようで、ベッドの上で寝がらサイトの寄付金の速報を聞いていた模様。すごいシチュエーション。寝ながら一喜一憂するクリスティンの姿が異様だった・・・笑。

1日で目標額に達すると、各出演者が自分のスマホで感謝のメッセージを動画撮影し、その動画をSNSなどから一斉に発信。スタッフとファンと出演者の作品への情熱だけで祭り状態。とんでもない1日だったことが分かる。

資金調達の期間最終日には、ファンとスタッフでレストランで集まり懇談会。70人だと予想していたファンが700人も集結し、もはやパーティ状態。ローガン役のジェイソンが登場するとフェスのヘッドライナーばりの歓声。監督は「この1か月は人生で最も疲れ、最も素晴らしい月だった」と語り、570万ドル(およそ6億)で終わり、寄付した人の数は9万1500人(東京ドームの2デイズ満員分ぐらい)だったと。やっぱりアメリカは規模が違う・・・。

製作前のロケーションから「ファンが何を見たいか」というのを基準に動き、「ファンのための映画」と言い切って、すべての決め事の根底に置いていた。これだけファン基準で製作される映画というのは過去聞いたことがない、ハートフルで素敵。ただそのきっかけがあくまで「お金」であることがアメリカらしいなと。。笑

再会を喜ぶキャストたちと、ファンの出資で成り立つ収録にメラメラと気合を見せる風景は、ファンにとって胸熱すぎて、胸が焦げ焦げになりそう。こういうのを本当の「ファンとの絆」っていうのか。

クリスティンがジェイソンに役に入りやすいのか?と問われると、「体が酸素を求めるようにヴェロニカになれる」と名セリフ。カッコ良すぎる。

ロケ地に集まったファンに気づくとキャストたち自らファンたちの元に歩み寄り、一緒に写真を撮ったりサインしてあげたりする。普段は絶対やらないクセに、相当な気配り。

「普通のファンは良いファン。ヴェロニカマーズのファンは最高のファン」←クリステンの、もはや差別ギリギリの愛情表現。。笑

「僕にいるのはヴェロニカマーズのファンだけ」←ディック役の自分のことをよく知ってる自虐的な名言も飛び出す。。笑

一定の額を出資したファンにはエキストラ出演の特典があるらしく、俳優でありながらも作品のファンで出資した人は、いきなりクリステンが電話があってビックリしたという。どうせなら名前のある役で出してあげても良かったのに・・・。熱狂的なファンの友達のために2人分の特典を手に入れてたサプライズ映像にはグッときた。(しかし、どんだけの金持ちだよ)

撮影前に子供を産んだクリステンが、ヘアメイクなどの合間に母乳を出す時間を作っていたことには驚いた。母乳で育てると決めた意地と、大事な撮影と、その両立を成功させたのは頼もしいエピソード。個人的にはダイエットを間に合わせたこと自体奇跡的に思えるのだが、すごいプロフェッショナルだ。

「予算は少ないけど、そうは見えない映画を作ろう」と製作前に一致団結したようで、ドラマ時代よりも早いペースの撮影に耐え抜いたという。皆がキャパオーバーなためにジェイソンは男性でありながら自分でメイクしていたとか。ハリウッドの現場でもそういう事態ってあるのか。

やたら長い期間にとんでもない制作費を捧ぐ映画もあるが、短い期間に低予算で気合の撮影を見せるというのは前者よりも刺激的。やはりバッチリと期間を決めてた方が、人は頑張れるのかな。

特典映像は最後までファンのインタビューや、ファンへのサプライズ風景ばかり、このディスクを買って永久保存にしてる人は多そう。

映画をレンタルで済ませるかディスクを買うかで迷う時、必ず特典映像のことを考える。恥ずかしくない舞台裏を持つ映画で、その裏側が収録されていると知っていれば、購入意欲はMaxに達する。

映画ディスクの特典映像の価値に関して、改めて考えさせられる特典だったなと。