Love, Rosie(2014)

どこかのページでのおすすめ映画にて、この「あと1センチの恋」を知る。原題は「Love, Rosie」だが、なぜこういう邦題になるのか?

数字からのイメージが大好きな日本人の心をくすぐるタイトルだと思うが、ヒロインのロージーの気持ちを追いかけるような映画なので、「Love, Rosie」の方がしっくりくる。

でも、冷静に考えると「My Life Without Me」→「死ぬまでにしたい10のこと」ばりの素晴らしい邦題だったと、後になって気づく。日本語万歳!!


・STORY

ロージー(リリー・コリンズ)とアレックス(サム・クラフリン)は6歳のころからの友達同士。自分たちの住むイギリスの田舎町を出て、アメリカのボストンの大学へ進学しようと約束し、二人とも合格。ところがロージーは、クラスの人気者クレッグと軽い気持ちで関係を持ち、身ごもってしまう。アレックスはボストンへ移り、ロージーは一人で子育てに奮闘するが……。


・すれ違いと邦題

邦題の「あと1センチの恋」をディスったが、ロージーとアレックスのすれ違いの多さを見てると、まんざら馬鹿にできない。ほんの僅差に泣かされる場面が多くあある。

大学進学前に妊娠が発覚したこと。妊娠がもう少し早かったり、遅かったりしてれば、二人の運命は違ったはず。

ロージーがアレックスを魅力的に見たかと思えば、アレックスに美人の恋人ができる。そして、ロージーに新しい男がデキた後にアレックスは恋人と揉める。

ロージーが順調な時、アレックスは苦しむ。ロージーが苦しい時、アレックスは順調になる。まさに1センチの差。

二人が一緒になるチャンスは幾つかあったが、いずれもパートナーを裏切らないといけないシチュエーション。

ボストンの緑の芝の上でロージー側からキスを迫るシーンもあったが、あそこで拒否したアレックスは後悔しただろうな。その後に家での会食でアレックスの彼女に妊娠してる事実を知らされた挙句、二人は外出先で大喧嘩。アレックスが最も後悔し、彼女が最も傷つき、二人の距離が最も離れたシーン。(アレックスの彼女が妊娠したが、後に別の男のだと判明)

距離だけでなく、会話や何気ない行動1つにもすれ違いが多く、見ていてムシャクシャする。「誤解」「誤認」のオンパレードだ。


・養子に出すはずだった赤ちゃん

ロージーは妊娠が発覚した当初は、自分の赤ちゃんの里親を探し、半年遅れでボストン大学に進学するつもりだった。(父がカトリックなため中絶はできない)

妊娠中のロージーは自分のお腹の中の子に関心はなく、人に赤ん坊のことを聞かれもそっけない感じ、愛情など皆無に思えた。

しかし、いざ子供を出産すると泣きそうな顔で抱き抱え、母親の目に変わる。母親としてのその子を守ると誓う。やはり、自分の子供は可愛い。

母親として生きていくと決断した時から、ロージーは大学の進学とホテル経営の夢を諦める。1年前まで賢い美人だった女の子が劣等感を抱く日々に苦しむのは見ていて辛い。しかし、子供の可愛さといったら・・・すべて吹き飛ばす破壊力を持つ。

ロージーは亡くなった父の遺産で、親友(女の子の)とホテル経営を営む。アレックスとは自分の子供のナイスアシストで復縁。

結果から見ると、子供を里親に出す選択はしなくて正解だったと。夢とアレックスと両方を手に入れる運命なのだから。


・「意地「「当てつけ」の長期決戦

長く友人だったということが邪魔してか、互いに意地が強い。

高校生時代から、互いに恋人や・ックスの話になると、気に障らない素振り。これがどこまで我慢してたのか謎だが、当時から嫉妬はしても恋人として考えてなかったことは確かだ。

それでも、映画の終盤ではアレックスがロージーの18歳の誕生日にて、彼女にキスしていたことを告白していたので、彼に関しては高校生の頃からロージーが好きだった模様。(ロージーは酔って記憶をなくしてる)

高校生時代にロージーに拒まれたと思ったアレックスは、傷を埋めるために彼女を作り、自分の心を癒していたと。

ロージーはロージーで、アレックスがベサニーという彼女と初体験を済ませたと知るとカチンと切れたり、何と嫉妬合戦は続く。

「先に気持ちを出したら負け」という意地の張り合い。「好きだけど自分からは嫌」→「あ、恋人作りやがった・・涙」→「自分も恋人作ってやるー」→「え、別れたのか・・でも頑張れ!」→「うわ自分も別れた・・・え、そっちは新恋人いるんかーい」→「好きだけど自分からは嫌」←ここに戻る。

終盤で、ロージーの子供が親友の男の子にキスをされた逃げ出すシーンがある。ロージーは娘を屋上まで追って慰めてあげる。娘と親友の一部始終を見ていたアレックスも追いかけて、ロージー&アレックスで娘を慰めるシチュエーションになる。

そこでアレックスが話したことが、キスを拒まれた男の子の気持ちを考えさせるように、
「心の穴を埋めるために別の子を探し始める。そして結婚して自分に言い聞かせるんだ。『彼女は完璧』だと」と話す。

アレックスがその場にいたロージーに、彼女の娘を通じ、昔からの自分の気持ちを間接的にロージーに伝える。

二人の傷の埋め合い合戦に、アレックスから白旗を挙げたようなシーンである。

若い子に大受けした映画だが、先に好きと言いたくない草食男子が多い時代だけに、共感できた人が多くいたのだろう。

意地と当てつけのハッキリとは伝えづらい感情に、この映画はとことんピックアッップしてる。

しかし、時代背景的に互いにFacebookをやっててもおかしくない。トークアプリやビヨンセの楽曲など、時代のトレンドをおさえてる内容なだけに違和感が・・。

仮にSNSで近況が細かくわかる状況であればすれ違いは減るが、かえって当てつけや嫉妬が強くなる部分もあり、物語は完結しないだろうな。

意地の張り合いに終止符を打つには、SNSの存在は大敵だと、この映画の脚本は語ってるようなものだ。


・性的表現が超ラフ

高校時代のシーンでは、ゴムが中に入ってしまった笑える話や、かなり下品な表現が多々ある。

大人になった後はさらに過激になる。オブラードという言葉が通用しないぐらいに性に対してオープンな映画である。(だからといってヌードがあるわけでないが)

ロージーに限っては、彼女がいるアレックスに会う前に、ゴムの持参を考えたり(寝取る気満々)、再会した元彼がマッチョになったを知り超絶興奮(この延長に復縁)したり、等身大の20代の女性の生々しい心理がそのまま出ていた。
映画の最後も、ホテルの部屋の中でアレックスがロージーとヤルような引き画で終結する。

性的表現が重たく見える映画と、軽く見える映画があるが、この映画は完全に軽く見える方。でも、そこが軽いからといって、二人の気持ちまでが軽く見えないのがこの映画の凄いところ。

性欲と愛情の比例表が綺麗な右肩上がりを好む堅い価値観の人からすると、不純に見える部分が多いかもしれないが、性欲の真相を知って生きてる人からすれば立派に清純な物語だろう。

体と心を分けるセンスで言えば、歴代観た映画の中でも10本指に入る。


・軽い音楽

これで良かったのか悪かったのか分からないが、劇中に流れる音楽がポップで明るい曲ばかり。

映画の内容的には、ヒロインのロージーは妊娠して大学と夢を諦めて、親友はハーバードで順調にキャリアを重ねて、互いに別の相手と結婚して・・・って酷な流れではあるが、音楽のチョイスが明るいので軽い印象を受けてしまう。

音楽が違ったら、映画の内容は違って見えただろうに。暗いクラシックを多用していれば、ドーンと重たい気分になっていたはず。

冷静に考えれば、中盤までのロージーの踏んだり蹴ったりな生活を、重たい気分で見るには体力が追いつかない。きっとあえて明るい曲を添えて、映画全体の調整を取ったのだろうと。

にしても、親友の結婚式に向かう空港でのダッシュシーンで「プラダを着た悪魔」のオープニングソングを使用したのは・・・・正解だったのか?意を決してアレックスに会う大切なシーンだったと思うのだが。

離婚した直後に20年以上好きだった相手の結婚式に、あの曲を聴きながら向かえる人間が、この地球上に何人いるのだろうか?

この映画オリジナルで作った曲が少ないのが残念。物語が良いだけに、音楽でもったいないシーンが多かった。

若者の好きな音楽を詰め込みすぎているので、5年も経てば「うわ、古っ!ダサっ!」って感じの映画になりかねない。

終盤では落ち着いた音楽が増え、自分の娘からのバトンでアレックスと良い距離間になるシーンで流れる音楽は究極に良かった。

広告で使用されてる音楽はセンチメンタルで、映像と兼ねて良い雰囲気出てるのに、本編全体でこういう音楽になるとは・・・。

Love, Rosie

Year:2014.10.22

Country:UK & DE

Studio:Constantin Film

Director:Christian Ditter

Genre:LOVE

Main Cast:Lily Collins,Sam Claflin,Christian Cooke,Jaime Winstone,